在日ウクライナ大使館が2019年7月18日、「ウクライナの地名はウクライナ語に基づいてスペルすべき」として、地名のラテン文字表記と日本語表記を訂正するよう求める文書を公開しました。
ウクライナの地名は今までロシア語の読み方で広まってしまっていたので、それをウクライナ語の読み方に直してほしい、ということです。その要求自体は理解できるのですが、当の改訂後の日本語表記がかなり変で、こんなんでいいのか?という気持ちになりました。そこで、ウクライナ語の発音はどんな感じなのか調べ、カタカナに直すならどうするのが妥当か考えてみることにしました。

【2019/8/7追記】大手のメディアがこれについて少し書いてくれたみたいです。分かりやすく短めにまとまっているので、一度読んでみることをおすすめします。

旧ソ連諸国の国名をめぐるモヤモヤが止まらない:朝日新聞GLOBE+

【追記ここまで】

アクセント

ウクライナ語でアクセントのある母音は、強く、少し長く発音するそうです。つまり、アクセントのある母音は日本語で表記する際、長音で書くこともできるということですね。

地名

ウクライナ大使館の発表では次のとおりです。

ソビエト時代のスペル 正しい現代的なスペル 日本語
‘the Ukraine’ Ukraine ウクライーナ
Kiev Kyiv クィイヴ
Lvov Lviv リヴィヴ
Odessa Odesa オデサ
Kharkov Kharkiv ハルキヴ
Nikolaev Mykolaiv ムィコライヴ
Rovno Rivne リヴネ
Ternopol Ternopil テルノピリ
Chernobyl Chornobyl チョルノブィリ

Ukraine
Україна [ʊkrɐˈjinɐ]

発音からすれば「ウクライナ」または「ウクライーナ」が妥当でしょう。しかし日本では「ウクライナ」が定着しているので、「ウクライーナ」に変える必要はないと思いますが……

Kyiv
Київ [ˈkɪjiu̯]

Kiev「キエフ」です。

最初の [kɪ] は確かに日本語の「キ」とは違っており、「クィ」っぽく聞こえますが、表記は「キ」でいいと思います…… 英語の kit [kɪt] は同じ発音を含んでいますが、「クィット」とは書きませんよね。и と і の対立を表現したかったという理由もあるのかとは思いますが、それよりは日本語表記としての自然さを取ることのほうがずっと重要だと私は思います。

最後の в (v) は、文字上は「ヴ」ですが、発音上は弱い「ウ」になります。

そうすると、日本語表記は「キイウ」や「キーイウ」、あるいは「キーウ」かと思います。

Lviv
Львів [lʲʋiu̯]

「リヴィウ」か「リヴィーウ」でしょう。

Odesa
Одеса [ɔˈdɛsɐ]

「オデサ」か「オデーサ」でしょう。

Kharkiv
Харків [ˈxɑrkiu̯]

「ハルキウ」か「ハールキウ」でしょう。

Mykolaiv
Миколаїв [mɪkɔˈlɑjiu̯]

こちらも「クィ」と同様、「ムィ」とはせずに「ミコライウ」か「ミコラーイウ」でいいと思います。

Rivne
Рівне [ˈrʲiu̯nɛ]

「リウネ」か「リーウネ」でしょう。

Ternopil
Тернопіль [tɛrˈnɔpilʲ]

「テルノピリ」か「テルノーピリ」でしょう。

Chornobyl
Чорнобиль [tʃɔrˈnɔbɪlʲ]

これも「ブィ」とはせずに「チョルノビリ」か「チョルノービリ」でいいんじゃないでしょうか。

参考

発音記号は英語版Wiktionaryか英語版Wikipediaから取ってきました。